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工事中に工務店が自己破産2015.03.25

今年の1月20日に岐阜の中堅の建設会社が自己破産したことは新聞などでご存じの方は多い
かと存じます。
私の場合は、その前の晩に知人からそのような内容を知らせる電話が入り、その晩はあまり眠
ることが出来ませんでした。
何故なら、その工務店が施工の上棟後数週間経過した現場があったからです。
工事中の破産は初めての経験でした。
新聞にその記事が掲載され、事実であったことを確認し、朝一で施主様に会いに向かいました。
事情を説明し、といっても破産したから何もできないという現状を受け入れていただくことと、私
と一緒に完成に向かってやっていくことを互いに確認しました。
後ろ向きのことを考えても、何も進まないので、一緒に踏ん張る想いを一つに出来たことは、そ
の後の進め方に勢いが出たと後から感じました。
皆様もあまり経験することがないことと存じますので、時系列順にその進捗結果を書いてみようと思い
ます。
1.M社への過払い金の実態の把握
  上棟時に支払われている金額と出来高を査定してみると、数百万円の過払いが分かりまし
  た。
  年末に上棟したばかりで、まだ屋根が葺き終わってない、サッシが取り付いていない、この
  工事分が過払いとなっていました。
2.工事請負契約書を確認する。
  契約時に完成保証という保険に加入することにしてあったのですが、その手続きがされて
  いるか確認する。
  住宅あんしん保証様に確認したところ、加入の確認が出来ました。
  その数日後には、住宅あんしん保証様が鑑定人を同行して現場の出来高状況の確認に来
  てくれました。
  今回の住宅では、この完成保証に加入していたことが過払い金、出戻り工事費用などを保
  険金として支払われるため、継続工事を金銭面でサポートしてくれました。
  <完成保証とは>
  ①過払い金と認められた金額(但し、上限はあります)と、引き継ぎ工事をした場合に一部出
    戻って工事をしなくてはならない場合に、その費用を保険金として支払われます。
3.破産申立人の弁護士事務所に連絡を取る。
  1.中に入ってよいか? 
  2.屋根、壁にはビニールシートで養生をしてあるが、更に養生をしてよいか?
  3.今後はどうなるのか?
  などなど
4.引き継いでくれる工務店を探すというより、私からT社に頼み込み、引き継ぎの見積もりを依
  頼する。
  快く引き受けていただき感謝しています。ただ、出てくる見積もり金額は気になりました。
5.足場業者に連絡をとる
  足場業者は、足場の保全のため現場にその会社のものである旨の表示をされたので、連絡
  をして意向を聞いた。
  出来れば、引き継ぐ工務店に使用してほしいとのことであった。但し、料金は未徴収なので、
  費用は全額出してほしいとのことであった。(その後そのようになった)
6.完成保証から、出来高査定が届き、チェックして返送を何度か繰り返す。
7.施主様は過払いの債権を放棄することで、弁護士事務所宛てに工事請負契約の「解除通
  知」を送付し、M社との契約を解除した。この解除で、工事途中の建物が施主のものとなる。
  (過払い金の債権の保全をする場合には、破産管財人が決定して、そこから全体の債権、資
  産の算定を行い、数か月時間がかかるとのことであった。今回は破産管財人が決まる前に
  手続きを行い、時間を要さなかった。)
8.3月7日、T社と続きの工事請負契約を締結し、工事再開となりました。
  見積もり金額も大きくはオーバーせずに短期間でできたことは感謝とともに大変嬉しく思って
  います。(途中にも屋根の再養生をしてもらったりと)
9.出来高査定の確認を住宅あんしん保証様と現場でする。
  住宅あんしん保証様は出来高の実情に則り、粛々と査定していただけたこと感謝しています。
そして、今は普通に工事が進んでいます。施主様も一安心され、私もほっとしました。